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美しさと狂気、ミッドサマー

ミッドサマー見ました。

 

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主人公である女子大生ダニーは、躁鬱病の妹が家族と無理心中したことで家族を失った。家族を失ったダニーは恋人であるクリスチャンに頼り切りになり、一方クリスはダニーの状況に同情し、別れを切り出せない状況になっていた。そんな中のためクリスの大学の友達であるペレの故郷のスウェーデンのある村に、クリスが男友達と行く計画にダニーも一緒に行くことに。着いた村はとても綺麗な自然の中にあり、村の人たちは天使のような白い衣装を着て楽器を吹き笑顔で踊っているまさに桃源郷だった。そして村の伝統行事である夏至祭に参加するダニー達は、自分たちの価値観とその村の独特な感性とのズレを感じていく。

 

以上があらすじです。

 

この映画は村の宗教/民族を扱っている映画で、かなりグロいシーンも多いです。

グロすぎて劇場から出ちゃう人も多いと上映してる時はアナウンスされてたらしくて、正直そうなる人はなる作品だと思います。

 

けど、そのグロい表現を怖さを与える方法としてのみに焦点を当ててやっているホラー映画とは違い、とても効果的に使っていると感じました。グロい点のみに焦点を当てて話される映画ではないし、そうして評価してしまうのはもったいない映画なので。展開も上手く、二時間半もある映画ですが、先が気になり続けるというか不安になるようなところが上手いタイミングで差し込まれ続けてたので、自分はダレずに見れました。

 

以下からネタバレの感想です。

 

今回の気になった点は

美しさと狂気の対比

(映像の綺麗さと展開のうまさ)

善悪の判断

ですね。

 

 

まず、民族や宗教を扱ってる映画のプロットとしてはよくあるありがちな感じにはなってしまってますが、映像がめちゃめちゃ綺麗なんですね。

あの村に最初行った時の桃源郷感がやばい。自然などの綺麗な映像としてはもちろん、村人が歌う美しい歌とか、村人の戯れてる感じとかが本当に素晴らしく綺麗、素敵、こんな村に住みたいとか思っちゃうよこんなん。あとドラッグのシーンとかも面白かったですね。あのトリップ感の演出も面白かったし、あんなに時間をとってドラッグシーンをやるのもすごいし、それが仮想体験のような感じでしたね。

 

そしてその美しさとの狂気の対比、とても美しい中だからこそ、グロという演出の衝撃が目立ちます。

例えば最初の山場である崖から老人が二人飛び降りて顔をハンマーで叩かれるシーンの顔の破壊のリアルさ、あそこはマジで目を背けてしまうくらいのリアルさでしたね。普通グロシーンとかって映画の性質的に画面が暗かったりほのめかしが多いですが、常に明るい白夜の村での出来事ってのもあり常に明るくしっかりとグロシーンが写っています。

そのグロさが半端がなくリアルということがこの映画の良い点だと思います。その民族や宗教的な教えの中でのグロシーンのリアルさは非現実の中の現実をとても感じるエッセンスになってると思いましたね…。その良い点が人を選び、なおかつグロい所だけが良くも悪くも目立ってしまう点がある種残念でもありますね。

でも、ホラーのように怖がらせるところに焦点を当てた演出のグロではなく、これがグロという表現の使い方のうまさだなってすげえってなりましたね…。

 

あとはなんといっても最後ですね。

ダニーが村の戦い(踊り)で勝ち女王になり、クリスは村の掟に巻き込まれ興奮剤的な薬を盛られその結果村人と性行為をする。その性行為をダニーは目撃し、その後行為が終わったクリスは我に帰り、殺された仲間達を発見し、それを見たことで村人達に薬を盛られ動けなくされる。夏至祭の生贄の九人の中の一人を女王が決める掟により、クリスをダニーは選び、動くことも声を出すことも薬で出来なくなったクリスが燃えていく様子を見たダニーは微笑んで映画は終了でした。

結局家族を失ったダニーは村人に事あるごとに私たちは家族よと言われたり、クリスが村人と性行為してるの見て泣いてる時も村人達は一緒に声を出して泣いてくれました。最初にダニーに共感してくれたのもペレだったしね。

ダニーが最も求めた共感という行為をこの村の人たちはしてくれたわけですよ。

なおかつ直近で失った故に最も求めた存在の家族、であると村人言ってます。

まあつまり世間で得られなかった共感や家族という最も欲しかったものを与えてくれた村に飲み込まれてくのは当然ですよね。それが自分らの価値観とはたまたまズレていた、世間で言うおかしい村だっただけの話で。

というか皮肉にも、世間で得られなかった最も求めていたモノをくれたのが世間とはあらゆる意味で隔絶された村なのが熱い構成ですよね。

あと流されて生きてきたクリスの最後が、声も出せないまさに何もできずに燃やされていくというのも人生を表してるようでいいですよね。

 

何が善悪なのかなんて世間では価値観として決まっているけれど、本当は場所によっても人によってもで変わってくるし、人によってはその"世間的な悪"に救われることもあるよね、って映画なんじゃないかな。

この場所っていうのは言わずもがな地理的な場所だけじゃなく、インターネットでもあるしそういったメタファーや風刺も含んでるんじゃないかな、と。

 

今一度世間的な価値観とかを疑った方がいいのかもしれませんね。身の回りで多数派というだけで盛り上がったり当たり前なだけかもしれんしね。本当人によって変わってくるだろその辺は、と思いました。

 

いや〜〜映画の感想長くなっちゃうな。これはなかなか難しいですね、簡潔にするのは…。

実はあと二つ映画見てるんですけど、感想かくの時間かかるのもあって書けてないんですよね〜〜…

精進します、では。